アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

IC-7610 デジセル

IC-7610を入手し、審査もパスしているため、運用を行っている。この無線機はアイコム社が誇るRFダイレクト・サンプリング方式をとっている。すなわち、通常はスーパーヘテロダイン方式の無線機で高周波信号を混合器を介して、中間周波数に変換し、性能が高いフィルタを用いて選択性を上げるようだが、IC-7610は、混合器の前段でAD変換を実施、その後は信号劣化が起こらないデジタル処理を行うもののようだ。
AD変換後にはFPGAを使ってデジタル処理により、スーパーヘテロダインと同じことを行っているようだ。即ち、AD変換器の前段のアンプにどのような入力信号を入れるかが重要なのだろう。アンテナ直後にはバンドパスフィルタやアッテネータを配備し選択性を上げているようだ。
ここまでがIC-7300とほぼ同じことをしているのだと思う。そういう面では、IC-7300もほぼ完成領域に到達しており、FPGAによる信号処理はさほど変わらないのだろう。デジセルを除けば、IC-7300を2倍にして、2つも不要な部分を取り去ればIC-7610の出来上がり!ということかもしれない。
では、使用者から見る性能差のひとつかもしれないデジセルとは何かということを考えてみる。デジセルは、アイコム社の上級モデルIC-7851やIC-7700に搭載されているオートマチックプリセレクターを呼んでいるようだ。八重洲無線ではμ-Tuningと呼ばれ、フロントエンドのバンドパスフィルタの更に前段に挿入し、より使用周波数にピークを合わせて選択性を向上させたフィルタの一つだと思う。昔の真空管リグでもプリセレクタがあったので、有効なフィルタ回路のようだ。アイコム社では、周波数の変更に応じて自動でリレー回路により切り替えるようで、7MHzでは4KHz程度で切り替わっていく。切り替わるとき、プツという音を出して変わるので少し違和感があるが、バンドパスフィルタの切り替わりが頻繁にあると思えば、納得せざる得ない。また、特に普段は使わなくていい。アイコム社がデジセル機能のスイッチをフロントに備えなかった理由はここにあるかも知れない。
デジセルを使うタイミングはOVFインジケータが表示されたときで、感度低下なくOVFを阻止できる。OVFインジケータは、オーバーフローを表しており、初段のAD変換器のオーバーフローを表すらしい。
朝方のEUのDX交信時にOVFが表示された。その時、デジセル機能をONする上とOVFが表示されなくなった。バンドスコープ画面をキャプチャしたので以下に示す。


デジセルOFF

7,20MHz以上の信号が非常に強い状態。


デジセルON

7.20MHz以上の信号が抑えられている。


すなわち、これだけでも何か凄い機能を手にした感じだが、これがMAIN・SUBでそれぞれ独立して備わっているので、デュアルワッチでは同時にこれを実現できる。このデジセルがIC-7610が装備した武器である。


次回は、IC-7300には無く、このIC-7610に備わっている機能として、とても有効、一度使ったら癖になるAPF機能を紹介したい。

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