アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

2024年の総決算と2025年の抱負

皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
さて、皆様にとって、2024年はどのような年だったでしょうか。
私にとっては、前職を退職した後、自営で仕事を頂きながら、細々と過ごした年と言えます。また、キリスト教会の礼拝のお手伝いさせて頂きながら、充実した日々を過ごすことが出来ました。
アマチュア無線の活動では、5月に唯一のHF機であるIC-7610が故障し、中古でIC-7100を購入、5月21日付で移動局免許でHFも拡張し、移動局でのHF運用が出来るようになりました。その後、6m AMロールコールに移動局として初参加し、移動運用の楽しさを知りました。ただ、移動するためのGoodsを少しずつ揃えていきましたので、6m以外での運用は11月になってからです。
では、Hamlogの結果から、2024年のアマチュア無線活動を振り返ってみたいと思います。
以下は、移動運用を除く、固定からの交信数を示した表です。

1.9MHz帯はアンテナが無いため、交信結果はありません。144MHzと430MHzは交信数があります。これは、IC-7100Mの入手によります。特に、430MHzでの0エリア以外の交信は、D-STARによる交信です。
まず、全体として、4000を超える交信が出来ました。その半分は7MHz帯です。そして、全体の交信の内、7割がDXとの交信でした。
CWモードでの交信は、以下の通り:

全体の交信数の半分以上はCWモードでした。DX交信でも、半分以上はCWであり、依然としてCWを楽しんでいたことが分かります。
表には載せませんが、全体の交信の内、SSBが945交信(22%)、FT8が708交信(16%)で、CWモード以外も楽しんでいたことが分かりました。SSBでの交信は、DXコンテストの参加です。WW WPX,WW DXコンテストという代表的なコンテストでは、丁度、教会のお手伝いと重なり、時間の制約の中で参加せざる得ず、7MHzだけの参加となりました。また、SSNの上昇に伴う28MHz帯の好コンデションは、アンテナ設備で不利になるため、オールバンドでの参加は諦めていたこともあります。
7MHzでのDX交信数をヒストグラム化すると、以下のようになります。

春先、秋口に突出しているものはDXコンテストです。夏場はコンデションの関係から交信数が激減することが分かります。一番の原因は、7MHzの伝播が夜となる地域を伝播する(D層が不活性状態の場所)ため、冬場にならないと伝播ルートが形成されないためのようです。
2024年の冬には、毎朝、7MHz CWでCQを出すようにしました。このときには、RBN(https://www.reversebeacon.net/)とKiwi WebSDR(http://rx.linkfanel.net/)をモニタしながら、EUにおける自らの信号の強度、伝播状態を確認しながらのCQコールです。
これによって、理解できたことは、

  • グレイラインパスにおける信号強度は、日の出時刻後、15~30分頃が最も強くなる。
  • グレイラインパスが最も良い訳でもなく、10月頃は4時前後に良い状態がある。
  • グレイラインパスの時間帯、国内の信号も強くなり、QRMに悩まされる

グレイラインパスの時間帯では、国内信号もとても強くなるため、敢てDXだけと交信するのではなく、国内局との交信も楽しむように、最近はCQ DXを出さないようにしました。
また、国内局のCWでのキークリックによるQRMが厳しい場合があり、酷い場合は±1kHzほどまでに及んでいます。最近のリグは、CWの立ち上がり信号を遅く設定できるので、是非、設定してほしいと思いますし、メーカーも初期設定で遅くして出荷してほしいと思います。CQを出すと、QSBを伴ったS3~5程度のDX局が呼んでくることが多く、その傍でS9も振るようなキークリックノイズが生じていると、交信が成り立たなくなります。


2024年のハムフェアでは、IC-7760が発売されました。200W機が出ることが魅力ともいえますが、1kWの免許を受けている者にとってはIC-7610で十分と感じてしまいました。それよりも、コンデションの上昇か?、コマーシャル局が多いのか?ローバンドでのOVF発生が頻繁に起こり、DIGI-SELを設定しても、ATT -3dBほどにしないとダメです。IC-7760ではBPFが細かく設定されているため、OVFがより抑制されているのではないかと期待してしまいます。ただ、IC-7610の背面パネルには、受信用に回路を挿入できるため、外部にBPFを挿入出来そうなので、10MHzと7MHzで特性のよいBPFが見つかれば、入れてみたいと思います。
私の設備では、7MHzの耳はそれなりですが、10MHzの耳は酷いものです。CQを出して呼んで来られても、殆ど信号が聞こえないことが良くあります。7MHzでは無いのですが・・・。アンテナの問題なのか、バンド特性なのか、それともリグの問題か、見極める必要がありそうです。
また、SSBでの了解度がいま一つと感じます。S5~7程度の信号だと、極端に了解度が落ちます。何が原因か分かりません。


さて、昨年5月に入手したIC-7100Mは、普段は144MHz/430MHzのFMメインチャンネルの両者をスキャン状態にしてワッチさせています。同時ワッチが出来なくても、高速で切り替わるため、まったく問題とはなりません。
HF帯の運用は、IC-7610に比べて、スペクトラムスコープが無いため、IC-7100Mは手探りの感じとなります。聞いた感じでは、IC-7610に比べて高音が強いキンキンとした感じで、案外と弱いSSB信号は聞きとりやすいのかもしれません。
移動運用のために、リン酸鉄リチウムイオン電池(20Ah)とスクリュードライバーアンテナ(RHM12)を入手しました。RHMC12も追加購入し、1.9~430MHzまで全てのバンドが出れるようになりました。1.9MHz,18MHz,24MHzの交信は未だですが、CWであればDX交信も出来ました。

12月にはPOTAへの登録を行い、アクティベーターとして、初めて若里公園での運用も果たしました。これから暖かくなってからの移動運用は楽しみです。
QSL紙カードについては、昨年11月をもって、以降の交信での交換を全て止めることにしました(それ以前の交信の紙カードの発行は行います)。それはX(twitter)のフォロワーさんのご意見を見て決めたことです。このきっかけとなった記事をリンクしておきます。


問題となる内容は
「QSL Via」はRSGBによって許可されておらず、これらのコールサインのほとんどはRSGBのメンバーではありません。これらのカードを受け取るための費用は現実的ではありません。カードが必要な局のQSL情報をよくお読みください。最大の問題は、ドイツと日本の文化で、すべてのQSOにQSL Via the Bureauを送ることです。そのような時代はとっくに終わりました。今は2023年です。しっかりしてください!」


という文書です。以前も、QSO先から何度か、お叱りのメールを頂いたことがあります。これからは、eQSL、hQSL、LoTWでのみの交換と決めました。どうぞ、ご理解下さい。


さて、これまでは2024年の振り返りをしてきましたが、2025年はどうでしょうか?
私のアマチュア無線に対する抱負(やりたいこと)は以下の通りです。

  • 移動運用の実施(特にPOTA, 6m AMロールコールでの移動運用)
  • 縦振り電鍵でのCW運用(のんびり、ゆったりのCW運用)
  • D-STARでのAJD完成
  • 7MHz,10MHzの伝播の調査(RBN,WebSDR,WSPR等による)
  • ラグチューやツイッターを通しての交流を楽しむ

今年一年も皆様にとって、実り多い年となりますように!!

2024年 CQ WW DX コンテスト

2024年10月と11月にCQ WW DXコンテストに参加した。太陽黒点数が最高期を迎えて、ハイバンドが賑わっているようであるが、私の場合、週末は朝夕の短い時間しか参加できないため、この2年間は40mバンド(7MHz)だけのエントリーとしている。ハイバンドはかなり賑わっていたとの話であるが、日の出ている時間帯は無線も十分に出来ない状況なので、見ないようにしている。
いつもは朝方7MHzでEUに対してDX交信を楽しむようにしているが、コンテストとなると、正に設備差が大きく表れるときなので、どちらかというと私の場合は細々と参加する方になる。
今年の結果は、SSBが198交信、CWが284交信であった。
下のグラフがSSBの交信レートである。

下のグラフはCWの交信レートである。SSBと比較すると興味深い。

SSBとCWの交信局数の差は86局、両者共、CQランニングが出来たので局数が増加した。
SSBでは、局数の多くはYB(インドネシア)局を中心とするアジア・オセアニア、一方CWでは北米局が多いと思う。
この大きな差は、まず、SSBではYB局のアクティビティが寄与している。夜間の7MHz SSBを聞けば一目瞭然であるが、YB局がとても多い、コンテストというと参加してくる。したがって、東南アジア方面から良く聞こえてくる。一方、北米方面は、私の自宅から100mのところに山の麓があり、山が遮っている。恐らくダイポールアンテナでも十分に聞こえてくる信号が、私のところでは聞こえない。中米のDXペディションでは、皆が呼んでいるのに聞こえないということがこれまでに何度も経験している。だから、北米方面に対してCQランニングが出来ない。聞こえないのである。
CWについては、残念ながらYB局が殆ど期待できない。今回も2局しか交信できなかった。しかし、信号レベルは低くても、CWという特徴から、北米局も弱いながらピックアップすることができる。また、北米局は比較的CWが好きな方が多いようである。特に、北米のグレイラインパスの時刻には、沢山の北米局からコールを頂いた。
EU方面は、SSB、CW関係なく、殆ど呼びにまわる。CQランニングする周波数も見つからないし、CQランニングしても殆ど呼ばれそうもない。それでも、JST22時台で、アンテナを北西に向けたCQランニング中、いくつかのEU局からコールされた。
EU局との交信は、朝方5時半から7時ぐらいまでであった。信号が強い局も弱い局も、呼べばコールバックがある。SSBとは異なり、QRMに強いCWならではである。7.000~7.080MHzぐらいまで幅広く出ていた。朝方、SSBの国内交信ではCWがかなり邪魔だったのではないだろうか。EUのコンテスト局の設備が凄いのだろうけど、25日の朝9時近くまでEUとCWで交信ができたのは少しうれしかった。
なお、JA局に多くて気になるのが、CWのサイドの広がりである。信号が強いだけに、クリック音が近くのDX局の信号を潰されることが度々あった。最悪な信号は以下の信号である。これは、Kiwi WebSDRで北米のSDRから見たものである。ちなみに、7.029MHzの信号は私のものである。7.025MHzが3エリアの某局の信号。この局がここでCQを出すと、前後3kHzあたりはつぶれてしまう。信号強度は、私の信号強度と似たり寄ったりである。
私は、CWのライズタイムをIC-7610の最長8mSに設定している。そうすると、周波数の広がりが少ない。人が聞いてもCWの信号は聞きやすい状態である。
北米のSDRで聞いても、7.025MHzの局は周囲に幅広くクリック音をばらまいていることが分かる。やはり、マナーの面で自分自身の信号には気をかけてほしいと思い。

以下はIC-7610でCQランニングするスーパーステーションの信号を聞いたものである。
JA3のクラブ局でものすごい強い信号の局である。しかし、サイドの広がりが殆どない。波形もとても綺麗な波形である。

これも6エリアのスーパーステーションである。

この局はJA3局とほぼ同程度の信号強度であったが、サイドの広がりは2倍ほどある。波形をみると、立ち上がりが少し急峻である。これだけで、500Hz離れたDX局の信号へのQRMが生じる。
更に、JA局でスーパーステーション局と較べて20dB程も弱いけど、サイドが広がった局である。立ち上がりが急峻であることがわかる。

このように、CWのライズタイムは他局へのQRMをかける可能性が高いので、是非、ライズタイムを大きくして、きれいな信号にしてほしいと思う。クリック音がバリバリ聞こえるのがスマートでないと誰もが思うのではないだろうか。メーカーもディフォルトの設定をもっと長いものにしてほしいものだ(IC-7610のディフォルトのライズタイムは、4mS)。


コンテストの振り返りをすると・・・

  • CWではゆっくり打たずに、25WPM以上の速さで打つことを心がけよう!
    遅いと取ってもらえず、また、相手のコールバックが聞き取れない場合がある
  • CWのライズタイムを伸ばした方が周囲にQRMの迷惑をかけない。

移動運用 2024年11月18日

今日は週末の準備を行っていたが15時過ぎに終わったので、実家に出向いて手伝いを行った後に、近くの千曲川堤防に出向いた。その場所は、千曲市道5000号線で、千曲市雨宮グランドに降りる部分である。

この部分には、1台分の駐車スポットがあり、ロケーション的にも開けた場所である。現在は、道路が工事中でもあり、車の通行が殆どない場所でもある。私は、時々、V/UHFで運用したことがある。6m AMロールコールでも何度か、ここから運用している。自宅からも数分の場所であり、簡単に出向くことができる。
RHM12で未だ使ったことが無い周波数は、18~28MHz,144MHzである。今日は144MHzと28MHzの2つのバンドで試してみた。
144MHzは、RHM12に付属された113cmの紐を用いてロッドアンテナの部分を合わせただけである。144MHzは5/8λとして働くようで、ラジアルが必要。MAT50により車のボディに接地した。調整は何も不要でSWRは1.1程度に低下していた。定格電力は40Wなので、FMモードでIC-7100Mを40Wに低減。CQを何度か出したが、これが長野の現状、交信相手はいないのだ。長野市付近でアマチュア無線を始める時、V/UHFのハンディ機を購入して運用されるケースがあるが、正直、お勧めできない。この付近には相手がいないし、限られているし、飛びも期待できない。すぐに手詰まりに陥るだろう。
次に、28MHzにQSY。マグネット基台を倒して、RHM12のロッドアンテナをいっぱいに伸ばす。そして、調整を始める。コイルの部分に大まかな目安があるので28MHzの辺に合わせるけど、SWRが全然下がらない。以前、YoutubeでRHM12は28MHzではMAT50を使わない方が良いという情報を頂いたので、私も外してみたら・・・なんと、SWRが1.1にまで落ちていた。RHM12は28MHzにおいてはグランドは不要なのかもしれない。
28MHzでも基本的にはCWのみの運用なので、28.000~28.050MHzをワッチしてみた。IC-7100MではIC-7610のようなバンドスコープが無く(簡易なものがあるけど、CWでは殆ど使い物にならない)、実際にメインダイヤルを回して聞いた方が良い。
28.016MHz付近でパイルをさばく局が聞こえ、17MHz付近に多くのJAが呼んでいた。なにかと思ったら西インド洋モーリシャス3B8からのサービスのようである。貧弱な設備ではパイルに打ち勝つことは到底無理なので呼ばないで、他の局を聞こうと思う。
いずれもCQ局を呼んで、取ってもらえたらしめたものと考えることにする。
以下が交信局と交わしたレポートである。
時刻(JST)         CALL         His Report      My Report
16:56             IK3VUT              559               429
17:01             RX6LG               599               599
17:09             DL5FCZ             559               339
17:14             CT9ABV             599               599


599同士のレポート交換では、実際のレポートがRX6LGが579, CT9ABVが559程度であった。
でもさすが28MHzである。このような設備でもヨーロッパと交信できてしまうのである。特にCT9はマディラ島、スペインの南西、大西洋に浮かぶ島である。このエンティティはアフリカに属する。コンデションや時間帯を調整すれば、WACも実現できそうである。
外から見て、小さな軽自動車と、そこに上がっている小さなアンテナで、ヨーロッパやアフリカの国々と交信しているなんて、誰も思わないだろう。自分の固定局のタワーに上がったアンテナと1kWのパワーで交信が成立するのは当然のように思うが、この小さな設備で交信できたことが、自分自身の気持ちの高ぶりをどう表せばいいか分からないほどであった。そう、ちょうど、心に1kWのリニアアンプをつけた感じだ。

なお、QRZ.comにもモービル局の紹介を加えたhttps://www.qrz.com/db/JH0ILL