アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

3月3日(ROSのインストール)

ROSはJT65と同じく、弱い信号でのQSOのために開発されたモードのようである。開発者はEA5HVKのようで、交信用のソフトウェアは現在バージョン7.4となっている。感覚的には、JT65というより、psk31を変えたものと思われる。音はQRA64やmfskモードに似ている。通信速度は3通りあり、4が最も遅く、8,16と3段階で、16はとても早い。ROSのFAQをみると、psk31の100Wで運用する例と比較して、設定4で1W、設定8で4W、設定16で20Wに相当するとあり、即ち、設定4が20dB、設定8が14dB、設定16が7dB改善することになる。周波数は固定のようで、以下の通り。


The HF frequencies currently used for ROS [ v7-4-0] are:
1.840 MHz
3.558 MHz
5.367 MHz
7.046 MHz
10.130 MHz
14.103 MHz
18.108 MHz
21.122 MHz
24.192 MHz
27.635 MHz [Citizens Band]
28.140 MHz
50.245 MHz
144.980 MHz
※SIGIDWIKI.COMより引用
日本の法律で国内QSOも含めて使えそうな周波数は、
10.130MHz,14.103MHz,18.108MHz,21.122MHz,28.140MHz,50.245MHzの6周波数である。
海外QSOに限れば、3.558MHz,7.046MHzの2バンドも使えそうだ。
いずれも、QRVできるかどうかの判断は、各自の責任の範囲とさせていただきたい。psk reporterをみると、使用しているのは欧州局だけで、米国については使用不可のようだ。特に、欧州局は市民バンドで多く利用されているようで、アマチュアバンドでの使用は不明。
ROSをインストールし、Operator設定で、コールサイン、グリッドロケータを入れるが、それだけでなく、メールアドレス、QTH等の情報も入れる。インターネットを介してのQRV情報を見ることができる。操作パネルでは、上の方に、インターネットを介してのQRV情報を共有することができ、その下部が自らのQRVのときの送信内容が表示される。更にその下には、QSOに必要なマクロボタンが配置されている。そして、実際の送信コードを入力するテキストエリアがあり、更に下にはウォーターフォールが表示されている。その表示は、WSJT-Xと較べて、洗礼されたものではない感じである。周波数の切替は、トップメニューバーでの設定、若しくは右上にある周波数表示で切替ができる。
リグのコントロールができて、便利である。予め、装置リストが用意されており、設定は簡単だが、最初だけソフトウェアがスキャンする時間を要するようだ。
今後、QSOを試みて、成功したら報告したい。

3月2日(QRA64の実力?)

帰宅後、シャックに入ったのは夜9時半を回っていた。50.276MHzに合わせて、JT65モードでCQを連呼した。ついでに、QRA64モードに切り替えて送信を試みた。はっきり言って、50MHzでこの新しいモードでのQSOは期待しない。JT65ですら、すでに時刻が遅くなり、QRVする局はわずかであろう。特にJA局はWSJT-Xのソフトウェアを使う人が少ないと聞いており、JT9ですら、あまり聞かない。でも、QRA64は新しいモードで、JT65より更にS/Nの低いものもデコード可能と聞いているから。送信時のQRA64の変調音や帯域というものを知りたかった。変調音はJT65に比べ、少しだけリズミカルな音調、判れば、JT65とはっきり見分けができると思われる。更に、50.280MHzではMSK144がよく使われると聞く。MSK144は流星散乱で使うモードであり、実際に使ってみた。10秒サイクルで送信受信を繰り返す。変調音は機関銃のような音である、バッバッバッという。これも、聞けば、すぐにわかる音である。帯域は少し広いようだ。
夜10時半となり、3.5MHzに移りSSBでCQを出そうとしたら、1エリアのOMが丁度CQを出し始めた。すかさず、声をかけたら、リターンあり。しばらくの間ラグチューを楽しんだ。11時を過ぎて、3.531MHzのJT65に移った。すると、なんと、QRA64でQSOしている方を見つけた。ウォーターフォールで見ると、JT65に比べて、少し帯域が狭く、JT65でみられる左側の縦ラインがない点の集まりである。どうやら、デコードはマルチデコードができないようだ。ウォーターフォールを見て、相手の周波数を合わせて、呼び出す必要があった。呼び出したが、相手はうまくデコード出来ないらしい。パワーが足りないかもしれない。他の周波数でCQが見えたので、そこに合わせて、出力を1W程度にあげて、呼び出したら、取ってもらえた。-15dBとのこと。JT65でこの信号なら、1Wであれば、-8~-10dBぐらいが期待値だとおもう。それよりもS/N自身が落ちてしまうとしたら、何か期待していたより思わしくないかもしれない。
7.076MHzに移り、暫く、QRA64でCQを出してみた。恐らく、誰も答えてくれないかもしれないが、こんな信号もあることをアピールしたかった。そうこうしていたら、ものすごい強い信号が入ってきた。S9+30dB以上を振っている。デコードしたら、恐らく市内局がDXを呼んでいる信号である。呼び出しを行っているとき、まさに、IF段におけるフィルタはSSBフィルタのため、AGCによるブロックが発生、他の局が全く見えなくなってしまった。ローカル局も私がQRVしていたときに、同様な目に合っているはずだから、さぞ、困ったことだろう。こればかりはお互い様で、使用周波数が一つしかない現状では、相手の送信タイミングに出来るだけ合わせて、送信する必要もあるのだろう。運用上の課題である。ルールでDXとJAでQSOするとき、7.076MHzなら偶数時刻はJA、奇数時刻はDXとでも決めておけば、いいかもしれない。ただ、珍しいところが偶数時刻に出ている場合は、混乱が生じることだろうが。

3月1日(春のコンデション?)

いよいよ3月となった。春と言っても良い季節である。恐らく、他の方も同じだろうと思っているが、四季を月毎に表すと、3月から5月までが春、6月から8月までが夏、9月から11月までが秋、残りの12月から2月が冬ということが多いのではないだろうか?
3月と言っても、まだ、朝方は寒く、雪も降ることがある。しかし、四季の移り変わりに顕著なのが、短波で交信を行うアマチュア無線の世界なのである。春分・秋分を中心として、前後1ヶ月が最もコンデションの良いときと言われている。いままでローバンドしか出来なかったのが、夕方や夜になってもハイバンドも開けてくる。
今日は14MHzが23時になってもJT65で欧州の局が沢山聞こえた。ましてや10MHzとなると、欧州からの信号が力強く入感していた。以下が、それらのPSK Reporterの結果。

 上図. 受信したDXの信号 黄色:14MHz, 緑:10MHz

 上図. 当局を受信された情報 黄色:14MHz,  緑:10MHz


私からは、米国方面やオセアニア方面が入ってこなかったが、実際はそちらの方でも、受信されたとのレポートがあり、南米、アフリカを除き、オープンしていたことが考えられる。14MHzでは欧州で-20dB以下で、結構厳しいレベルだったことに加えて、欧州域内でのQRMが酷いのか、なかなか実際のQSOには至らなかった。JT9でCQを出すも、逆に当方がデコードできない状況もあって、14MHzでのJT65はもどかしい限りであった。10MHzでは、信号強度もそこそこにあり、CQ呼び出しで次から次に呼ばれる状態が続いた。CWでは、ロシア近郊が聞こえるだけであり、さすがJT65の実力だと改めて感じた。


このような夜に14MHzの欧州が開けるのは、冬場では無いので、少しずつかもしれないが、夜のDX交信がDXのメインストルリートと呼ばれる14MHzで出来るようになってくるのだろう。今週末にはARRL DX PHONEコンテストが行われるが、WとのハイバンドでのQSOも期待される。
さて、もうひとつ、私にとって、朗報がある。
漸く、QRA64,MSK144を始めとするデジタルモードの追加変更の審査が終了した。今回はこれらのモードに加え、ORILVIA,ROSにも出れるようになった。特に、MSK144においては、流星散乱による通信を目的としており、伝搬実験的な要素があり、とても楽しみである。ROSは14MHz以上のバンドで欧州で使われているモードであり、今後、どのように使うのかを調べて、挑戦していきたい。