アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

WSPRによる14MHzコンデション把握

最近は、夜中に14MHzの欧州に対してのパスが非常に良いとの情報がある。私自身は体調の理由からも0時には切り上げることとしており、翌朝のツイッター等から、沢山の局との交信ができたとの情報を聞く。羨ましいばかりではあるが、一度、コンデションが開け、かつ、CQでも出せば、欧州局はひっきりなしに呼んでくるので、少なくとも1時間の覚悟が必要となり、とても無理な状況である。いずれにしても、睡眠中にほったらかし運用が可能であるWSPRはとても有効な手段と言えよう。
なお、WSPRについては、免許制度の変更があったので、恐らく現時点では諸元表記載なしで使用できると思われるが、詳細は総通に問い合わせていただきたい。私自身は、過去からWSJT-XでのWSPR運用を諸元表にて届け出しているので、それをもって運用している。せっかくだから、WSPRについては、他のブログ等でご確認いただきたいが、興味のある方は、私のブログでも紹介しているので参考にして頂きたい。

現在のWSJT-Xの最新バージョンでModeとしてWSPRがあるので、それを用いると運用ができる。運用される場合は、WSPRnet(http://wsprnet.org/drupal/)にも是非登録することを推奨する。このデータベースから、運用後に得られた受信情報を取得できる。
直近の運用は、5月24日23:58から5月25日7:54までの間である。周波数は、14.0956MHz + 1573Hzで出力は5W、無線機はIC-7610、アンテナは4エレ八木で330度方向に固定した状態である。
この日のコンデションは、普通といったところだろうか、少なくとも数日前の21MHzまで欧州局が聞こえたときからは悪い状況で、SSNは0状態であった。
運用の結果、時間中、962レポートがあった。欧州の他、VK,B,Wといったところからも報告があり、サンプリングについてはレポート数が多い欧州局を無差別に選択した。


(1)ドイツ
26局と非常に多くの局からのレポートを頂いたが、代表としてレポート数が多い4局を選択した。なお、グラフの縦軸は信号強度(受信レポート)、横軸は時刻(JST)である。

これらの状況をみると、信号のピークは0時半頃に集中している。一旦、聞こえなくなり、早朝4時台ごろからレポートがある。その場合、0時半よりも信号レベルは低めのようである。VOACAPでの信号強度のシミュレーション結果は以下の通りである。

縦軸が周波数、横軸が時間(UTC【UTC=JST-9】)となる。すなわち、最初のピークである0時半頃(15時半UTC)での14MHz(15MHzの下にある横実線)は強度が強く、2時(17時UTC)に急激に低下する。その後、4時(19時UTC)で若干の強度上昇がみられるが、7時(22時UTC)には完全に低下する。ほぼ、シミュレーションに近い状況が得られている。上図のVOACAPのように、もっと早い時刻からのオープンも想定できるので、一度、チェックが必要のようだ。
(2)オーストリア
ドイツよりも若干、緯度が低いオーストリアからのレポートを紹介する。

ドイツと似たようなレポートであるが、前半のピークが強めに出ている。しかしながら、これは受信相手の設備によるのでなんとも言えないとことである。
VOACAPのシミュレーション結果は以下の通り。

ドイツのシミュレーション結果に比べ、信号の低下時間帯が短い。また、0時(15時UTC)での強度が高く出ている。実際のレポートも似た感じである。
(3)イギリス
7局からのレポートがあったが、その殆どは少ないレポートであった。以下のG4ZFQ局からのレポートが最も多いので掲載する。

0時直後にピークがあり、急速に低下する。その後、5時ごろにもう一度、信号が浮上したようである。
VOACAPのシミュレーション結果は以下の通り。

ドイツやオーストリアのシミュレーションに比べて、1時(16時UTC)で信号が低下し、その後、5時ぐらいに浮上するようだ。レポート結果も近似しており、イギリスあたりはもっと早い時間帯の方が好条件かもしれない。
(4)フィンランド
更に高緯度のフィンランドからのレポートを紹介する。

WSPR運用直後から安定した強度のレポートを頂き、2時半には急速に低下している。
VOACAPのシミュレーションは以下の通り。

シミュレーションではピークは0時(16時UTC)で、2時(17時)以降は信号が上がらない。
(5)ギリシア
逆に低緯度ではどうだろうか。ギリシアからのレポートを頂いている。

信号は際立ったピークもなく、全体的にフラットな感じである。
シミュレーション結果は以下の通り。


シミュレーションでは、22時(13時UTC)から強度があがり、3時(18時UTC)ごろに少し低下するものの持ち直し、6時(21時UTC)ぐらいまで安定するようだ。
レポート結果も3時付近のレポートが無いものの、その他は変化はあるものの報告は6時頃も続いた。
(6)EUロシア
EUロシアのレポートは以下の通り。

やはり、0時半にピークがあるが、その後はゆっくりと低下していった。
シミュレーション結果は以下の通り。

UEロシア(モスクワ近郊)では、14MHzでのオープンは意外に短いようである。既に22時(13時UTC)から強度があがり、2時(17時UTC)ぐらいにはフェードアウトする。レポートからの想定では、丁度、ピークのころから低下する時間帯のものと想定される。
(7)カナリア諸島(EA8)
最後にカナリア諸島からのレポートも頂いている。

シミュレーション結果は以下の通り。

シミュレーションからは、3時前(18時UTC)の入感はほぼ絶望のようで、実際は5時(20時UTC)ごろが良いという結果である。
しかしながら、この時期に発生するEsがある場合は影響が変わってくる。
シミュレーション結果は以下の通りである。

全体的に強度が上がっている。聞くところによれば、VOACAPでのEsの効果予測はそれほど正確ではない(Es自体が変化に富んでいるので)というので、このときはEsなどの影響があったかもしれない。


総論であるが、EUとの交信においては、VOACAPのシミュレーションの通り、0時過ぎからの時間帯が適切であり、幅広く欧州エリアが開けそうである。しかし、2時を過ぎれば急速に信号レベルが低下していく。朝方も開けるが、信号は全体的にレベルが低くなり不安定になる。
なお、午前0時前も開けている可能性もあり、WSPRでの15時以降の運用を行い、VOACAPとの比較を行ってみたい。ただ、WSPRでのレポートがあるからと言って、交信が成立するとは言えず、欧州の生活時間帯や北米など他エリアが開けるため、JAにアンテナを向けてくれない可能性もある。0時頃、すなわち15時UTCでも多くの欧州局が呼ぶ一因としては、Stay homeの影響があると思われ、素直に喜ぶこともできない。
全世界での早いStay homeからの解放を祈らざる得ない。

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