アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

JTDXのインストール(勝手な評価、その1)

JTDXをインストールした。いままでFT8運用開始後、ずっとWSJT-Xを使用してきたが、Twitterの情報からWSJT-Xのこれまでの運用レポートを共有できる(重複を避けることができる)方法があることが判り、JTDXをインストールすることにした。
早速、使ってみると、ひとつのWindow上に沢山の情報が表示されていた。聞くとところによれば、JTDXの方が感度が高いとの話であった。そこで、せっかくだから、WSJT-Xと比較してみたいと考えた。比較は、それぞれが取得する記録ログ(ALL.log)を用いた。
比較条件は以下の通り:
リグ ICOM IC-7610 7.074MHz 【USB-D1 (BW3.6kHz) P.AMP OFF,ATT OFF,IP+ ON】
アンテナ NB42X【18m High, 60度方向固定】
パソコン HP PRODESK(Windows 11 Pro, CPU AMD Ryzen Pro 5650G, 16GBメモリ)
JTDX v2.2.159-32A FT8 デコード感度 低いしきい値を使用
WSJT-X v2.5.4 d28164 FT8 デコード:ディープ
 記録前にJTSyncによりシンクロする。
評価時期 2022年11月28日 18:21:30~20:00:45 (JST) 


デコード数 JTDX 9183件、WSJT 6450件
JTDXでデコード、WSJTでデコード不可 :3233件
WSJTでデコード、JTDXでデコード不可 :292件


JTDXとWSJTの同じ信号をデコードしたときのS/Nの差があると感じた。同じ信号の受信情報をプロットし、最小二乗法による換算を行った結果は下記の通り。

JTDX SN = 0.4259× WSJT SN - 7.2386  【dB】
となる。WSJTで-24dBのレポートだと、JTDXで-18dB程度となる。この内容からだと、JTDXで-24dBの場合、WSJTで-30dBになると推測でき、WSPRに匹敵する受信能力を持っていることになる。もし、そうであれば、JTDXでのFT8の交信能力は、JT65が全盛期の時期を超えていると言って良い。WSJTでS/N 0dBがCWの交信とすれば、この30dB相当の能力はまさに10W+DPの設備に1kW+4エレ八木の設備を得たと同等と考えていいかもしれない。更にJTDXは、WSJTの受信限界-24dBに対して6dBの力、電力換算で4倍、アンテナであれば、エレメント2本分以上の能力を増すことになる。デコード性能で、もはやJTDXを選ばないという選択肢は無いように思われる。


それではロストデコード(デコードが出来ない信号)はどうなのかを調べる。
1.JTDXでデコードできて、WSJTでデコード出来ない3233件について

WSJTがデコードできなかった信号は、S/N 0dB以上で1000件以上と以外に多かった(なお、信号強度は、JTDXの受信データを上記の最小二乗法による換算式でWSJTのS/Nにしたものである)。WSJTは、JTDXが受信できた件数の40%程度をロストしていたということになる。また、-15dB以下になると更に増え、-20dBあたりになると100%(すなわち、JTDXだと2倍の件数が受信されていたということになる)となる。この結果、WSJTに対して、JTDXの通常のデコード能力は1.4倍ほどあるのだろうと思われる。WSJTのデコード限界が-24dB(JTDX換算-18dB)あたりなので、-20~-16dBでロスト率が増加しているのは、wSJTがこの辺りでデコード限界に到達しているからと思われる。


2.WSJTでデコードできて、JTDXでデコード出来ない292件について

WSJTでデコード出来て、JTDXでデコードできないものがあることがわかる。-20dB未満が0件である理由は、WSJTでもデコードできないレベルだからである。
あくまでも推測であるが、JTDXでも-11dB以下の信号になってくるとデコードを失敗するものが増えてくるのだろう。だから、以下の分布と同じように-11dB以下のデコード分布とロスト数のグラフが相似している。一方、S/Nが大きくなるに従って、デコード成功率が格段にあがるのだろう。


JTDXでデコードされたデコード件数のS/Nによる分布:


上記のように、JTDXは優れたデコード性能を備えていると言える。なお、この時間帯の凸コード件数が多いのか、限界に達していたのかは別途、分析が必要である。また、ノイズの影響、設備の影響など、様々な条件があるため、この内容をうのみにしないでほしい。故に、勝手な評価とさせて頂いた。
CPUやメモリへの負担はJTDXが大きく、デコード時にCPUが8.3%、メモリ104MBを要した。WSJTだとCPUが4.3%、メモリ97MBとなった。
今回はここまでとしたい。

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