アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

釣竿アンテナの試み

私は、以前に渓流釣りに熱していた。少なくとも、2011年の春まで。それは、あの悪夢の日までは、毎日、自分の釣竿を見つめて、長野の奥深い山々に出掛けて、イワナやヤマメを釣り上げることである。
鳥の羽根を高い金額で購入し、ダイスに針を固定、毛鉤をいくつも巻いて、竿を持って行き、渓流の落とし込みのところにそっと流す。ポイントに毛鉤が着いたときに、魚がフッキングするときの楽しさは、今でも思い出すと無線とは違った興奮を覚える。
しかし、かの日以降は、釣りをすることに後ろめたさを感じた。私に釣りを教えてくださった師匠のような友人が体を壊して釣りにも行けなくなった。次第に離れていった。
というわけで、釣竿は自宅に結構ある。但し、その多くはアンテナには向かないフライロッドである。振出竿もいくつかあり、5m程度の竿が見つかった。調べると殆どは、竿径が細く、強度が高い少し高価なカーボンロッドである。ネットで調べると、カーボンロッドは、高周波エネルギが熱に変換されるため、効率が悪くなり、飛ばないアンテナとなると書いてあった。1本だけ、グラスロッドがあったので、それを使ってアンテナを作製した。
5mということで、14Mhzは1/4λに相当する。すなわち、GPアンテナが作れる。ベランダに設置して、調整したら簡単にバンド内で十分な値になった。調整には、アンテナ・アナライザなんて便利な代物は無い。昔、入手した物置にあったデリカ社のディップメーター、そして無線機にあるSWR計が頼りである。
完成した後、バンド内を確認、DXの信号は聞こえるが、ノイズも大きく、あまり有効なアンテナでは無いと思った。JA3の6エレ八木と1kW局の強い信号、その局が相手に送る59+のレポート、私の方には相手の信号はカスカスであり、改めて、アンテナの威力を感じ入った。
その後、改造を行い、グランドラジアルを1.7m程度にして2本用意し、1:4バランを付けたら、なんと、21MHzのVCH?アンテナに変わった。未だ、運用が不十分ではあるが、21MHzバンド内のSWRはほぼ1.1で、14MHzのSWRは、中心が14.2MHzで1.2程度、バンド内が1.5以下に低減した。更に、よくわからないが18MHzも、1.5から2程度におちつき、以外にもよく聞こえる。ラジアル長を変えて、バランのインピーダンスを変化させたら、3バンドで使えるアンテナになってしまった。もちろん、14MHzのラジアルなどは無い。
釣竿アンテナは面白いので、もう少し、検討をしたい。春先まで、できれば10m長のアンテナ用釣竿を入手し、7MHz用のGPを作ってみたい。
なお、興味があるのは、現在のツェップアンテナの半分を上に折り曲げて、L型のツェップアンテナにしてみることだ。出来るだけ、垂直成分を長く、できれば、トップに容量環やローディングコイルを入れてみる。DX向けのアンテナが出来上がるのかもしれない。参考となったのは、7MHzのフルサイズVCHアンテナの作製記事である。いずれにしても、GP系のアンテナは、打ち上げ角を低くできることが期待出来そうであるが、別の記事ではラジアルの数やバランスが大きく影響するようにも記載されており、ラジアル部分をできるだけ短くし、トップに電流の腹を近づけるようにすることが可能かである。
もちろん、7MHzでビームアンテナを上げている局に等しくなろうとは思っていない。14MHzで経験したように、ビームアンテナの効力は十分にわかっている。それでも、学生時代に5階の校舎屋上に上げたフルサイズの7MHzGPで聞いた多くのDXの素晴らしい信号、そして、その年のコンテストで叩きだしたスコアを少し信じたいような思いがする。

使用しているアンテナ

再開局時に設置したアンテナは、以下の通り。

  • HF 7MHzツェップアンテナ
  • 144MHz/430MHz GP

7MHzのツェップアンテナは、JK3QBUさんの作製した給電部をヤフオクにて購入。0.75SQのACコードを10m購入し、2つに割いて真ん中を半田付け。2階の屋根軒下から畑に向かって伸ばした地上高4m程度のツェップアンテナです(その後、1m程度、上げて5mになりました)。調整はいたって簡単。そのまま20mを接続し、SWRをはかったら、ドンピシャで7.010MHzでSWR1.1を達成。
 昼間は、200~400kmのアマチュア局の信号が59+で入感してきます。CWと100Wなら、ほぼ、1~2回でコールバックが返るので、満足です。ただ、夕方ごろからの6エリア、8エリアの信号は少し弱めで、何度か待ち状態が生じます。
夜8時以降になると、7MHzもDXバンドに変貌しますが、アジア・オセアニア方面は、屋根の邪魔にもならずに、CWなら比較的に簡単です。東南アジアのマレーシア、シンガポール、インドネシア、オセアニアのVK、ZLなどなら、この高さで十分にQSOが出来ることがわかりました。一方、WやUA方面は、屋根の影にもなるのか?結構難しい状況です。
平屋の物置があり、その屋根の上、ぎりぎりをエレメントが通っており、雪が10cmほど積もったら、エレメントが埋まってしまい、極端に耳が悪くなり、SWR値も変わってしまいました。農業用の棒を追加して、地上高5mにしたら、少し改善したようです。


144MHz/430MHzのGPは、144MHzが1/2λ、430MHzが5/8λのGPです。アマゾンで7,250円で購入しました。飛びは、判りません。ローカルとのQSOには十分です。TVアンテナのマストの上にちょん!と付けています。高さは7mぐらいです。
0エリア管内は、アマチュア局の減少により、殆ど、QRVしている局が居ません。
大体、コールチャンネルでCQを何度か出して、コールバックがあればいいほうです。1月2日のQSOパーティでいろいろと状況を聞きましたが、みなさんは1年に1度の、1月2日のQSOパーティに出るだけで、後は出ないとのことです。
以前も、私は常にCQを出して、QSOを求めましたが、今後もそうしたいと思います。

IC-7000

現在の私の無線機は、ヤフオクで買った(落札した)IC-7000である。
以前に使ったことがある無線機は、TS-520V、TS-830S、TS-50S+TL-922、TS-711、後は2m,430のモービル機などである。
TL-922は別として、IC-7000は、上記の無線機の全てを兼ね備えているスーパー中古無線機と思っている。

モービル機の大きさで、HFから430MHzまで全てのバンドにオンエアできる。それも、オールモード機でRTTYのデコード機能も付いている。FMラジオ、AMラジオも聞ける。IF段はデジタルフィルタが対応されており、ボタンでの切り替えで簡単に狭帯域に変更できる。CW運用では、300Hz帯にしないと、気味悪いほどである。
デジタルNB(ノイズブランカ)やNR(ノイズリダクション)があり、前の無線機に比べれば、非常に効果がある。CW FULL-Break in機能があり、リレーの音が少しうるさいが、しっかり、働く。メモリ付きスクイズキーがあり、バンドでのSWR測定機能がある。IFシフトやリバースモードなど、普段は使わないものがある。
出力はHF,50MHzは100Wまで、他は50Wまで、それも出力を連続可変できる(恐らく1%まで)。交信録音機能、ダイヤルの微調整、時計、複数のメモリ・・・十分である。
少し不便を感じるのは、HFを聞きながら144MHzや430MHz帯を同時に聞けない。バンドスコープ機能があるが、受信が断続する。V・UHFはSWR計が機能しない。マイクのコネクタが下向きに出ている。早くダイヤルを回転しても、早くならない。チューナーが無い。出力調整やキーヤーのスピード調整、メモリキーヤーの操作、フィルタの切り替えがボタンで操作が大変!と、これも上げればキリがない。恐らく、高級機まではいかないにしても、普通の無線機から、ダイヤルノブやボタンを極力削除してコンパクトにしたのだと思う。
CWの受信性能は比較出来ないが、パイルアップのような重なった信号はなんとなく取りにくい感じがした。カスカスの弱い信号は苦もなくとれるが、300Hzの帯域で、バンド内に信号の強い局が出現すると、すこし、騒がしくなる。
2m,430MHzの信号の振れは、他の局にくらべ、非常に悪い。プリアンプを入れ、更に少しさばを読んであげないと、相手局と同じにはならない(メーカーは言い訳しているようであるが・・・)
7MHzのSSBでは、混信の中、Sが5程度の局と交信する気にはなれない。自分のSSBでの耳のせいか?運用は殆どCW Onlyなので問題ないが・・・(HFの99.5%がCW運用)。


なお、購入当初、長野エリアの2m,430MHz帯の無線局の少なさから、無線機が壊れていると思い、一時、メーカーへの修理依頼を検討したほどである。これは、無線機でなく、いまの無線局の数(アクティビティ)の問題だが。