アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

CW運用時、FULL Break-inか、それともSemi Break-inか

ツイッターで「CW運用時、皆さんはフル/セミ、どちらで運用しますか?」というアンケートを取りましたら、なんと、307票の方から投票がありました。本当に、ありがとうございました。
まずは、アンケート結果を報告します。

307票の内、38.8%(119票)がフルブレークインで運用、52.1%(160票)がセミブレークインで運用、9.1%(28票)がその他という結果でした。
様々な方から、コメントをいただきましたので、匿名にてお伝え致します。

  • 基本Full Break inかな。無接点リレーのリグが増えてほしい
  • リグによってはフルの時もあります〜
  • 両方です。
    フルだとパイルで打鍵中に他局にコールバックが開始された瞬間打鍵を止められるから。
    ゆっくり1対1の場合はセミブレークイン。
  • コンテストでランしてるときはフルブレークインです。
    その他はセミブレークインですね
  • 珍局スプリットでない限り、セミです。PTTで送信状態を保持するときもあります。
  • 他の局への応答中が分かれば即停止できますから フルが殆ど
  • セミのフル寄り
    一応空白で反対だれかのトーンが聞こえる程度
  • 少しでもリレーを労りたいので…😅
  • リレーがうっせぇなので、セミブレークインです😂
  • リレーがガチャガチャ行ったり、符号の合間にガーガーノイズが聞こえると気が散りますよね。
    ペディションやったりキー局なんかでパイルを捌かないといけない状況ではフルブレークインの必要があるのかな。
  • 最近はCWは全くやっていませんが以前のやり方からフルに一票。
    SSBでも一瞬PTTを離して受信しながら送信していたりします。これだと送信中に相手から呼ばれても気付くことができ、時間の無駄を少なくして多くの局とできたりすると思っています。
  • 意外とフル派とセミ派が拮抗してるんですね。90年代のRIGより最近のRIGのほうがフルブレークイン時のリレー音がやかましくなったような気がします。
  • リニアアンプが対応していないのでずっとセミブレークインです。フルブレークインできるリニアに買い替える気力も財力も、もう無いし。
    (いつもリニア入れてる訳ではありませんが…)
  • 国内のpileアップやDXのup指定ではフル、それ以外ではセミですね。
  • でもね、セミとは言っても、文字の間に受信が入る程度に短くしています。
  • 怒涛のパイルに参加する時はフルで
    他、殆どセミです。
    やはりリレー音が気になるリレー接点寿命が気になります。
    SSRを使ってのブレークインってないのかな?
  • コンテストやパイルアップの時だけフルブレークイン、他はセミブレークイン。リレー接点の消耗を懸念して。

コメントを頂いた方からの情報をみると、フルブレークインを使っている方は、「送信中に、直ちに受信状態に切り替える必要」からのようです。たとえば、コンテストでCQランニングしているとき、相手が呼んできたら、直ちに、送信を止めて、相手の応答に対応すれば、スムーズな反応ができるということです。また、パイルアップの状態で、相手局が何らかの信号が出てきたら、すぐに受信に切り替える、スムーズな運用には欠かせない機能です。
ところが、これだけ便利な機能なのに、あまり使わない理由は、3つの回答がありました。

  • リレー音がうるさい
  • リレーの寿命が心配
  • リニアアンプが対応していない

リレー音がうるさい一番の理由は、送受信の切替にメカニカルリレーを用いているためです。このことは、リレーの寿命が心配であるということにもつながっています。そして、リニアを使っておられる方にとっては、リニアアンプのリレーがフルブレークインに対応していないということもあります。


まず、フルブレークインを用いた通信はどのようにされているのかをウィキペディアに掲載されていましたので、紹介します。

フルブレークイン運用をQSKオペレーションと呼ぶようです。QSKでは、相手の送信中に割り込むことにより、より会話に近い通信ができることを言っています。QSKには、T/Rスイッチ(送受信切替)の技術がとても重要で、高速かつ長期間に耐えるために真空式リードリレー、若しくはPINダイオードが用いられることが要求されるようです。
QSKプロトコルがあり、QSK対応している局は、最初にQSKを表明するようです。また、QSK?で相手に可能かどうかも聞くことができるとあります。割り込みには、1ドットの短い信号を送る、そして、それを受けた局は、一時停止するか、"K"を送信するという手順があるようです。


ここからは、私のラインナップ(IC-7610+ACOM1000)の場合です。
IC-7610の送受信切替の部分は、ネット上に公開されている?サービスマニュアルに記載されています。TUNER UNIT(1/2)の回路図に送信と受信のラインが表記されており、その分離をする回路が目的のT/Rスイッチになります。

※上図で橙色部分が送信側、緑色部分が受信側、すなわちRL552が対象のT/Rスイッチ


RL552は、サービスマニュアルの部品表から、SIP-1A-12Yという部品でした。これはリードリレーで、通常のメカニカルリレーに比べて、動作時間が1/10程度で寿命も一桁長いという特徴を持っています。寿命は2億回、動作時間は0.3m秒という値です。
以前に、24WPMでコールサインを連続して出したとき、4日間で200万回の動作に達すると計算したことがある。

すなわち、1日の連続送信で、50万回のリレー動作があると考えればいい。そうなると、2億回となれば、400日に相当する。ここまでの回数となると、他の部分が壊れる可能性が高いため、IC-7610の場合は、しばらくは安定して運用可能だと言える。
一方、ACOM1000は、QSK対応と言っているが、以前、ARRLコンテスト中に壊れた。その理由が、バキュームリレーの寿命が200万回であり、酷使すると、すぐに寿命に到達するためかと思う。
※ちなみに、IC-7300はT/Rスイッチに、メカニカルリレーFTR-B4CA009Zを使っており、機械寿命で500万回、電気的接点寿命で10万回と意外にも小さい。FTDX101の場合は、AGQ200A12Zのメカニカルリレーで機械寿命は5000万回とあった。FT891,FT991Aも調べましたが、同じリレーを使っていました。


フルブレークインについて、調べていると面白い記事が見つかった。DJ0IP局が提示しているQSKの情報である。
https://www.dj0ip.de/ricki-leaks/amp-interfacing/qsk-realities/


OM曰く、短点間を聞き取ることはあまり意味がなく、文字間を取り出すことで十分ではないかということ、Near-QSKを提案している。
なお、同OMは、アンプのリレー遅延が生じることを認識すべきあると言っておりました(https://www.dj0ip.de/ricki-leaks/amp-interfacing/cw-amp-sequencing/)。それは、送信遅延がないと、リレーの切り替わるタイミングでホットスイッチングが生じるためであり、部品やエキサイターに、影響を及ぼす恐れがあることを認識しておくべきでありました。ACOM1000の場合、リレー遅延を6mSce保証しているので、IC-7610の送信遅延を10mSecに設定した。
なお、私の運用スタイルは、セミブレークイン運用。理由は、アンプのリレーの耐久性と、バックグランドノイズが聞きずらいし、特に、セミブレークインで運用していて、不都合は感じていないため。たまに、ヘッドフォンをつけたときに、使ってみることがあるけど、だいたいは直ぐにセミに戻してしまいます。

ARRL International DX Contest CW

2023年2月18日~20日までに行われたARRL International DX ContestのCW部門に参加した。このコンテストの参加レポートを捜すと、前回は2018年にも参加しており、そのときの交信数は199QSOであった。前回はLow Power部門で且つ、コンデションも今一つというところであったが、今回はHigh Power部門で、何といってもコンデションが安定して良かった。いつもながら、それほど、長時間の参加ではないにしろ、楽しめたコンテストであった。
さて、今回のコンテストの総スコアは以下の通り

現時点で472QSOである。1.8MHz帯はアンテナの問題から、参加はなし。
交信レートは以下の通り。

また、運用時刻と運用バンドは、以下の通りである。

運用時刻としては、48時間中21時間となった。時間帯が重複するが、3.5MHzが4時間、7MHzが6時間、14MHzが8時間、21MHzが3時間、28MHzが4時間である。時間当たりの局数では、21MHzが37QSO/時、28MHzが32QSO/時、14MHzが15QSO/時、7MHzが13QSO/時、そして3.5MHzが9QSO/時となった。
SSN値が112(2月20日)であり、ハイバンドにおけるコンデションが良好であった。28MHzなど、28.000から28.074MHzまでに実に500Hzほどの間隔で信号が並ぶ状態であった。そして、私の小さなアンテナ(2エレ?)で東海岸局がとても強く入感していた。28MHzは100Wの出力しか免許が無いが、とても効率よく運用できたと言える。丁度、アンテナを上げた時期が太陽活動が低下しているときであり、28MHzはあまり重視していなかった。もし、314Cあたりのアンテナにして、且つ、1kWの免許をおろしておけば、もっと、良い条件になったと思う(少し、後悔)。
では、ベストタイムな運用をしたのかというと、そうとも言えないので、VOACAPの分析に合わせて振り返りたいと思う。
以下がVOACAPで得たシミュレーション結果である。グレー表示は北米西海岸のコンデション、色で表示されたのは東海岸のコンデションである。西海岸は比較的安定しており、長期にオープンしている。東海岸はよりオープン時間帯が顕著のようだ。

これを見ると、3.5MHzは20時前後、7MHzは、17時から23時ぐらいまで、14MHzは7時前後と、11時から12時という比較的短時間であった。21MHzは、7時から11時ぐらいまで、28MHzは8時から10時ぐらいと短い時間帯である。
これを見ると、結構、コンデションに沿った運用方法であった。しかし、コンデション予測から、もっと、効率の良い運用ができたと思う。以下が考えられる。
もっとも、短時間で良い結果が得られそうな28MHzは、8時から10時までとする。その前後、7時から8時、10時から11時を21MHzで運用、更に、朝6時台と11時以降は14MHzで運用する。7MHzは、17時から23時まで。3.5MHzのピーク時間である20時は必ずワッチをする。
7MHzは結構、効率よく交信できるが、3.5MHzはある面、難しいバンドである。誰もがあまり重要視しないからなのかもしれない。どちらかというと、マルチを獲得するために出るレベルでもいいかもしれない。


運用面での課題は、私自身のCW運用スキルなのだが、特に、CTESTWINと併用していると、同時に複数の局から呼ばれたとき、アタフタして、ミスキーボードが発生する。すると、間違った符号が送られてしまったり、訂正に時間を要したりで、思うようにいかない。
CW運用速度は、3.5MHzは24WPMで、その他は26WPMにしたが、複数局から呼ばれると、厳しい。強い信号であれば、その局に耳を固定化して聞けばいいのだが、途中から強い局に呼ばれたときは、その前の局のコールが聞き逃してしまう。同時に呼ばれると課題がある。CTESTWINの操作も問題ありで、もう少し、スマートな運用をしたいものだ。ただ、どうすれば良いかは不明。
7MHzでの信号強度が強いかどうか、自信が無かったが、KW局が多い中、ほぼ、1~2回で順番が回って来たのでまあまあである。やはり、14MHzの飛びの方が課題はありそうだ。28MHzの寄生アンテナ(NB42Xでは28MHzは対象外)は、意外によく、ちょっとしたパイルは打ち勝った。21MHzがやはり一番よく、コンテストの終わりになって、漸く、スムーズな運用ができるようになった。3.5MHzは、意外にも東海岸あたりも交信できた。そして、多くJA局が交信する相手も、ほぼ、こちらで信号を得ることができた。その面では、今のアンテナはそこそこに働いてくれるようだ。
IC7610での設定については、3.5MHz、7MHzにおいてはOVFの点灯のため、デジセルは必須。APFはSHARPの80Hz設定。ただ、APFは周波数がずれたりすると、途端に取れなくなるので、CQランニング中はOFFにする。それより、PITCHコントロールが相手の信号が聴き易いようにできるので重宝した。送信側は低め、受信側は高めの周波数になる。


まとめ:

  • ハイバンドが絶好調であり、ハイバンド中心に運用計画を立てるといい。
  • CW運用スキルで、複数の局から同時に呼ばれたときの読解力に難あり
  • CTESTWINへの入力などの方法を検討する必要あり。

3.5MHzで運用中、5W QRPで呼ぶJA局を見つけた。この局は、きちんと相手からコールバックを貰っていた。ナイスファイト!である。
28MHzは、100Wでも十分にコールバックがあったし、沢山の局が出ていたので、これからのコンデション下なら、本当に力を入れるバンドだ。

WRTC 2023アワード挑戦

2023年になって、WRTC記念局が沢山現れるようになった。WRTCって何かな?と思ったが、これは、World Radiosport Team Championship(世界ラジオスポーツチームチャンピオンシップ)で二人一組でチームを作り、設備(出力とアンテナ)と場所を同じ環境にしたとき、そのアマチュア無線のスキルの高さを争うという競技会のようだ。1990年のシアトル大会から4年ごとに開かれてきたみたいだ。詳細は以下のページを参照。

さて、WRTC 2023のアワードの目的は、「2023年7月に開催されるWRTC2022『世界無線チーム選手権』の開催を推進する」とのことで、2023年1月1日~31日の期間で特別局と交信をして100点以上のポイントを得ることが条件のようである。ポイントは、CWが10点、SSBが5点で、各バンド、各モードで交信したポイントが加算されるのだ。特別局は、同一バンド同一モードで1日1回しか出すことができないようなので、QSYをした後、再び、戻って交信することが出来ないみたいだ。また、特別局へのリクエストはダメ。
すなわち、CWであれば10QSOで達成可能である。
私も、最初は何のことか分からずに交信していたのだが、あるときに、WRTC 2023アワードがあることを知り、それから結構、本気にやり始めた。
その結果は、以下の通りである。

ポイントトータル1225点、153QSO、40特別局、5バンド、2モード(CW/SSB)という結果であった。そして、私は1408位だそうだ。初めの頃は、1000位ぐらいだったのだが、どんどんと降下して行き、この順位になった。
交信リストは以下の通り。


80mでは、日本の特別局と中国の特別局との交信だけである。朝方、3.5MHzでは何度かEUの特別局のコールを耳にしたが、引っ切り無しに呼ばれていたようで、JAからのか細い信号では交信は殆ど不可能と思われた。7MHzは、ほぼ、朝方の交信のみである。更にSSBでの交信は、グレイラインパスが開けているときだけ。私の設備では厳しいのが現実。
14MHzは、EUや南米、オセアニアが夕方に良く聞こえた。パスはロングパス。太平洋回りのパスである。このときだけは、EU局よりも圧倒的な信号が強く相手に届いたので、パイルアップの中でも取ってもらえた。金星はD44PMで、多くのJAが呼ぶ中で、タイミングをはかって取ってもらえた。残念なのは、EF8WRTCのSSB。ロングパスからの信号は物凄く強く59+20dBほど振っていた。もちろん、ワンコールでコールバックがあった。しかし、どうやらレポート交換がEU局のコールで邪魔され、完了していなかったようである。空振りに終わった。また、ZV7Wについては、実信号レベルで45前後、何度も繰り返し言ったが、結果的にJH7ILLと判断されたようである。このロングパスのEUであるが、CWになると厳しくなる。それは、フラッターが伴う信号になり、強くても、相手は理解できなくなる。だから、20WPM程度まで速度を落として呼ぶのだが、今度は相手が待ちきれないみたい。結果的に、ショートパスで呼ぶ方が早かったということがあった。
21MHzは非常に良いコンデションに恵まれた。朝方の北米、夕方のEU、とてもよく聞こえた。ただ、14MHzとのバンド選択が難しく、コンデションのピークを逃して、大事な獲物を逃したということがある。それは、GB2WCである。聞こえていたが、少し待ったら、いなくなってしまった。それっきり、聞いた覚えがない。チャンスは2度もやってこないのだ。
28MHzは、100Wに寄生の2エレという設備なのだが、ノイズが少ないときは信号が弱くても相手に届くみたいで、CWでは殆どの聞こえた局との交信ができた。
交信できなかった(ログに見当たらない)記念局は、以下の通り。
GB2WC : 21MHz SSBで一度、聞こえた。 7MHz CWでも微かに聞こえてきた。
HZ1WRTC: 7MHz SSB、21MHz SSBで聞こえた。信号も強かったが、EUのパイルが続き、交信には至らなかった。CWを聞いた覚えがない。
II9WRTC :クラスタに上げられたが私の設備では聞こえなかった。
IO0WRTC:実際にクラスタにも、WRTCのサイトでもコールを見たことが無かった。
IO8WRTC: 同上
IR1WRTC: 同上
K4W:   同上
N4W:この局とは残念であった。何度か、21MHzで耳にするも、直ぐにQSY。こちらがリニアのプリヒート中に居なくなった。14MHzでは聞こえなかった。
P49X:実際にクラスタにも、WRTCのサイトでもコールを見たことが無かった。
VE2WRTC:何度か出ていることがクラスタに上げられたが、私のところでは聞こえなかった。
YV1KK: 同上
ZV7W:一度、ミスコールされたことがあった。後は全然だめ。


振り返ると、
まず、記念局は遠くのJAよりも近くの局を中心にQRVするバンドやモードを選んでいたようである。その証拠として、II6WRTCは、最終日までまったく聞こえなかった。最終日の夜、14MHzでクラスタのJAからのレポートに気付き、ショートパスで聞いたら、なんと、聞こえるではないか。早速、Wkdした。
特別局によっては、SSB又はCWのモードの偏りがあった。好き嫌いの世界だろう。
やはり、自分の設備が弱小であることを感じる局面があった。7MHzと14MHzが顕著で、7MHzは聞こえていて呼んでもコールバックがないというケース、14MHzは聞こえないというケースで、いずれもJAのビックガンの方は、私が喘いでいる脇から、すんなり持って行ってしまう。これがアンテナの差なんだと感じた。
北米局は7MHzではレポートが無い。これは、生活時間帯を考えると理解できる。こちらの良い時間帯は、真夜中から早朝、そんな時間帯にコンテストでもないのでQRVしないはずだ。
1つの特別局をチームで運用する局は、比較的取りやすいが、個人運用の場合は大変である。良くめげずに頑張ったのだと思う。


ということで、WRTCのアワード、そこそこに楽しめたし、競技会があると初めて知った。
この競技会は、今年7月のIARU HFチャンピオンシップコンテストで行われるというから、期待したいと思う。