アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

10MHz 春のコンデション by WSPR

引き続き、WSPRにて春のコンデションを調査したのでここに報告する。
調査日は、4月3日0時16分から9時まで(時刻はJST)。条件は以下の通り。
無線機 IC-7610 5W設定、アンテナ 2エレ八木(315度 北西固定)
WSJT-X Ver.2.2使用。周波数 10.104027MHz 
こちらの信号のレポートをWSPRnetより取得する。
日の出時刻 5:30


やはり、主目的は欧州方面のコンデションを調査すること。
全体的には、2時半から5時頃にかけて、レポートが途絶えているところがある。原因は不明である。設備側に不備があったか、コンデション自体なのか、他の妨害波(OTHレーダー等)によるものなのかは睡眠中のため解析不可能。遠距離には、まだ、グレイラインパスと思われる日の出時刻から30分程度のパスが有効である。


1.欧州方面
多くのレポートを頂いた。特に、ドイツからのレポートが多く、14局から頂いた。その主なレポートを以下に記す。

1時前後と、日の出直後から30分間のレポートが多い。ここに上げていない他の局からのデータはすべて、日の出時刻直後から30分間の間のレポートである。ドイツの日没時刻は、2時58分(JST)であった。VOACAPの信号強度予測は以下の通り。

強度の高いときは、3時から5時(JST)ということから、測定結果とは異なっている。
日本の日の出時刻から30分後のパスはグレイラインパスだと思われる。7MHzでは、春のコンデション下ではグレイラインの効果はみられなかったが、10MHzでは短時間ではあるが、あるようだ。すなわち、10MHzはローバンドの様相をもっていることが顕著に表れているのではないか。
他の欧州からのレポートもいかに示す。

グレイラインパスが効果あるところと、殆どないところがある。原因は不明。EUを10MHzで狙うなら、夜中の2時頃、50W以上にFT8であればチャンスはありそうだ。一発狙いであれば、CWでグレイラインパスが効いている日の出時刻から30分間だろうか。


なお、ほぼ欧州に近いが、カナリア諸島からのレポートもあった。

欧州の西になればなるほど、オープンの時間が遅く短くなる。これは、日没時刻が遅くなるためであると考えられる。


2.オセアニア
VKやZL、KH6(ハワイ)からもレポートがあった。

オーストラリアについては、真夜中はレポートがなく、グレイラインパスは非常に効果的のようだ。日の出時刻後から、信号は落ち込みが激しくなる。

ニュージーランドのSWLからのレポートでは、グレイラインパスによるレポートのみ。先方のアンテナなどの設備の問題か?

ハワイとは、グレイラインなのか、日の出後のしばらくの間、パスがあることがよくわからない。


3.東南アジア
シンガポールからレポートを頂いた。

2時半から5時にかけて信号が無いが、これは不明。丁度、睡眠をしている時間帯のため、モニタをしていなかったが、もしかすると、OTHレーダーその他の要因で、この時間帯は受信が不十分であった可能性もある。


4.中国

中国局も比較的安定している。


5.日本

スキップ時間帯であるが、わずかながらパスがある。さすがにWSPRである。

21MHz 春のコンデション by WSPR

先日は7MHzの夜のコンデションをWSPRで調査した。今回は、21MHzの日中のコンデションをWSPRで調査してみた。特に、21MHzにおいて、欧州エリアがオープンする時刻を知りたいということが主な目的である。
WSPRの条件は、リグはIC-7610で5W、周波数は21.096185MHz、アンテナは4エレ八木(315度)で4月2日13時から19時半までの間で、受信レポートをWSPRnetにて得る。時刻はJST表示。
結果は以下の通り。


1.欧州方面
欧州方面は、西欧エリアでドイツからのレポートが16:14に-20dBでレポートあり。それ以外は無く、トルコから以下のようにレポートがあった。

緯度が少し低いところであるが、15時半頃にもレポートがあった。
VOACAPで信号強度を予測してみると、以下の通り。

UTC6時(JST15時)からUTC8時(JST17時)ぐらいが信号強度が上がるときがみられる。19時半以降のデータがないので結果と比べることはできない。


2.ハワイ(KH6)
KH6からは、2つの局からレポートがあった。アンテナの指向性からみると、バックのローブにあるため、フロントに対して、-10~-20dBほどの低下も考えられるが、どちらも信号は強かったようである。

運用直後から、信号が強く入感し、次第に低下していく傾向があった。伝搬の状態は2局とも相似している。
VOACAPでの予測では以下のようになる。

UTC5時(JST14時)ぐらいが信号強度でピークとなるようだが、実際は少し早くピークがきたようである。KH6とは、午後の方が伝播がよくなるようである。


3.オーストラリア(VK)
聞くところではオーストラリアとの伝播は午前中がいいというがどうなのだろう。

大きなQSBを伴いながら、運用開始直後から17時過ぎまで入感していた。VKもアンテナ方向はバックになるので、実際はもっと強い信号で入っていたはずである。
ピークは15時台である。
VOACAPでの予測データは以下の通り。

21MHzでは、UTC1時(JST10時)と、UTC7時(JST16時)の2つのピークがあるようだ。午後の方が信号は強くなるとみられる。測定によるピーク時刻は、予測よりやはり1時間ほど早い状況であった。


4.東南アジア(9V)
東南アジアは、21MHzだと比較的よく交信ができるところである。今回、アンテナのサイドにあたるシンガポールからレポートがあった。アンテナのF/S比は20~30dBほどあるため、実際には非常に強い信号で受信できるはずであった。

コンデションは安定していると考えていいと思う。VOACAPでの予測は以下の通り。


比較的安定しており、予測ではUTC9時(JST18時)がピークを迎える。測定データもほぼ等しく18時にピークがあった。


5.中国(B4)
中国の4エリアである。すなわち、比較的低緯度(上海や江蘇付近)が良く入感していた。

VOACAPの予測データは以下の通り。

ピーク時刻は異なるが、19時ぐらいまで入感していた。一方、1エリア(北京付近)は、わずかに聞こえていただけで、16時ぐらいにピークがある信号がいくつかあった。

予測データも、同様に高い周波数では信号強度は落ちるようである。やはり、春分を過ぎて、春のコンデションとなっても、SSNが小さいとあまり良い結果ではない。


21MHzでは初めてのWSPRによる伝播調査であるが、コンデションはやはり今一つである。ただ、低緯度域で太平洋に面しているところは、比較的、信号は強い状態のようであり、東南アジア、オセアニアが今のところ、21MHzの交信対象になるのだろう。
それから、あと1ヶ月ほどでEsのシーズンを迎える。そうすれば、国内交信が楽しめる頃になり、交信相手が見つからないのは、あと少しの我慢で良いと思う。

7MHz 春のコンデション by WSPR

久しぶりに、WSPRによるコンデションの状況を調査してみた。調査日は、春分を過ぎ、WPX SSBコンテストの直前の3月26日の午前1時半から午前10時半まで9時間、周波数は7MHzのWSPR運用周波数7.04107MHz、出力は5W、アンテナは2エレを330度(北北西)に向けた状態とした。今回は、当局の信号をレポートして下さった方からの報告である。
北北西に向けていたということは、主に欧州のコンデションを狙ったものである。
春分を過ぎると、7MHzのDXシーズンは終焉を迎える。実際にどのような状況なのかを調査する。当日の太陽黒点数(SSN)は24、日の出時刻は5時34分であった。なお、時刻はすべてJSTとする。


1.欧州方面

春分を迎えると、冬場のような日の出時刻でのグレイゾーンによる信仰強度上昇が顕著にみられなくなる。それよりも、比較的長時間(40分から1時間程度)のフェージングがあり、10dB程度の変化がみられた。1日だけの条件であるため、単純に比較はできないが、冬場にみられるグレイゾーン時刻での-10dB程度まで到達する信号は無かった。このことから、相手のアンテナにもよるが、日本で2エレ程度のアンテナと50Wの出力でCW交信をしようとすることは難しい状況であり、安定した交信を求めるなら、1kWクラスが必要な状況であると思われる。いずれにしても、7時台になると、信号は聞こえなくなる。


2.北米方面

午前0時以降に開始したため、信号が低下していく方向にあると思われたが、KH6(ハワイ)は午前3時頃にピークを迎えた。USAカルフォルニアは日の出時刻が23時、ハワイの日の出時刻が1時半ごろで、日の出後1時間半ぐらいに信号のピークがきていた。理由は不明。


3.アジア・オセアニア(日本を除く)

信号の変化はあるものの、比較的夜間は安定して入感している。日の出時刻頃になると、信号は落ち込む。


4.南アフリカ

南アフリカ方面は、ビーム方向がサイドになるため、-20dB程度、アンテナのフロント方面から低下していると思われ、実際の信号はもっと強いと思われる。午前6時台が強く入感しているが、7時頃になると、D層の影響によるのか、信号は聞こえなくなる。南アフリカの日没は午前1時頃なので、実際には深夜帯は可能性があるかもしれないが、信号レベルが朝方に上がるのは経験上も事実である。


5.日本

7MHzでの沖縄との交信のチャンスは、夕方によく訪れるが、朝方にも日の出時刻直後にチャンスがありそう。でも、D層の影響が強くなる午前8時以降は信号レベルは低下していく。
3エリアは、0エリアとの交信チャンスは多く、日の出時刻以降は信号が急上昇し、安定した交信が日中楽しめそうである。
1エリアは、0エリアからは比較的近いために、あまり伝播状態がよくない。おそらく、日中の交信が主となるが、毎日のコンデション変化の方が大きいだろう。


以上、久しぶりにWSPRによるレポートを作成した。相手のアンテナやビーム方向にもよるが、こちらからの5Wの信号の信号レベルレポートを記している。したがって、50Wクラスならば、10dBを足せばよい。
FT8なら-20dBまで、CWなら0dBまで、SSBなら10dBは必要と考えれば、おおよその見当がつくだろう。