アマチュア無線家JH0ILLのつぶやき

ある日、突然、アマチュア無線を再び、やってみようと思い付き、十数年ぶりに再開した無線局のつぶやき。

30m Band WSPRによる運用結果

WSPR(Weak Signal Propagation Reporter)は、FT8で有名なアプリケーションWSJTXで使用可能なモードの一つである。このモードは名前のごとく、微弱信号伝播報告者であり、基本的にQRPにて運用、相手に信号を取って頂き、その報告を受ける、若しくは相手の信号を受信するというビーコンタイプの運用モードである。
今回は、夏至を迎え、使い物にならなくなった7MHzでなく、色々と使えそうな10MHzを聞いて、10MHz、すなわち30mバンドの状態を知るものである。
運用は6月26日のUTC14時(JST23時)からUTC21時(JST6時)までの7時間、どちらかというと深夜から朝にかけての10MHzの状態を確認することで、特にEU方面の伝播を確認することを目的とする。リグはTS-480HXで5W、アンテナが2EL短縮八木という状態である。参考まで、日の出時刻は、UTC19:31(JST4:31)である。


まずは、OH8GKP局、フィンランド局の信号の受信状況である。

図のように、7MHzと同様に日の出時刻を中心に信号が上がっている。また、JST23時当たりでも、-25dB以上の信号で入感している。WSPRのような高感度なシステムであるからこそ、聞こえるのであって、実際はほぼ交信不可能なレベルであろう。日の出後、1時間程度は信号が高い状態のようで、その後、太陽の上昇により急速に信号が落ち込むようだ。すなわち、7MHzに似たような状態なのだろう。
一方、当方が送信した場合はどうだろうか? 下図がその状況である。

やはり、日の出時刻付近で上昇がみられるが、こちらは逆に日の出1時間後がピークを迎えている。全体的に信号の変化も小さい。原因は不明だ。
西欧となると、それほど差は小さいようだ。下図は、DK8FT局での当局の信号の受信データである。

信号差は僅かである。信号のピークは、日の出時刻よりも1時間ほど早いようだ。
同じエンティティの信号が受信されたものを以下に示す。
UTC18時から20時ぐらいに信号が強くなっていたもののようである。

EU以外の信号をみてみると、以下の通り。
お隣の中国では、こちらの信号を受信していただいていた。運用を開始した頃が強かったようだが、その後、すこし信号が低迷していたようだ。理由は不明。

更にオセアニアのVKで受信していただいた。夜中になると信号強度が落ちるようで、これは7MHzにはなく、14MHzに近い特徴かもしれない。

最後に北米での受信例を示す。運用開始直後には信号が聞こえていたようだが、UTC15時を過ぎた後、信号が落ちたのだと思われる。

以上の通り、10MHzでのWSPR運用結果を報告する。
状況としては、7MHzよりも夜昼の状態が敏感でなく、一部は14MHzのような振る舞いをするようである。それでも、グレイラインパスがありそうで、恐らくD層の影響をある程度受けるのだろう。ただ、F層の電子密度が低下する真夜中のパスは信号が弱くなる(VK)。
すなわち、真昼はD層の影響があり、真夜中はF層の低下の影響を受ける、長いグレイラインパスが有効なバンドと言えるのかもしれない。

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