最近はもっぱらIC-7610を利用して運用している。このIC-7610は、先駆者IC-7300によりダイレクトRFサンプリング方式と言って、アマチュア無線界を驚かしたリグの兄貴分というところである。多くのOMに、時代はデジタル処理だから、とのことでこのIC-7610を掌中にした。しかしながら、本当にIC-7610を購入して凄く効果があったのか？？と考えたとき、私はきちんと比較した方がいいと判断した。
TS-480HXは、かのKENWOODがこだわりをもって開発した無線機である。今まで使ってきた私は、決して悪いことを言いたくない。確かに発売時期をみると2003年と既に17年も経過している。価格は10万円に毛をはやした程度、しかし、この値段で200Wの出力を実現している。いま、200Wの出力を出すとなると、40万円相当の中級機以上、若しくは10万円台の外付けリニアアンプが必要となる。7MHzや3.5MHzでその信号を聞くと、やはり100W機よりもパンチ力があり、強いと感じる。そんな無線機が10万円台で入手できるのだ（しかし、残念ながら、KENWOODによれば、生産中止を予定しているようだ）。
まずは、IC-7610との比較版を３点ほど、Youtubeに挙げたので比べていただきたい。

IC-7610 vs TS-480
これは、海外局をアンテナを切り替えて受信したものである。TS-480の信号はS7程度
しか振れていないが、IC-7610はS9となる。これは、どちらが正しいかは不明であるが、IC-7610での信号レポートは甘目となる。両方とも、プリアンプは入れていない。
KENWOODのこの音が好きな方もおられるだろう。すこしAMぽい音声といっていいただろうか？唯一のIC-7610の利点は、ノッチである。ご覧いただいたように、マニュアルノッチであるが、バックに聞こえるピロピロ信号は完全に取り除くことができる。
では、CWモードはどうだろうか？

IC-7610 vs TS-480
これはVK局が夕方聞こえている状態である。TS-480のフィルタは、500Hzのフィルタを使っている。TS-480のNR2は殆ど意味がない。IC-7610の場合は、APFが非常によく、聞こえる信号が浮き上がる感じである。しかし、受信性能からみると、それほどの差は感じられない。

IC-7610 vs TS-480
最後に、3.5MHz　SSBの状態である。これははっきりいって好みの問題である。この受信した日は、OTHレーダーが強くバタバタ音が酷い状態であった。どちらがいいかは甲乙つけがたい。ただ、TS-480は送信・受信周波数帯が2.7MHzのフィルタしかなく、音を遊ぼうという向けではなさそうである。

なぜ、TS-480は思ったよりいいのか？？であるが、このことは以下の徹底解説集
https://www.kenwood.com/jp/products/amateur/image/ts_480_manual.pdf
に記載されている。まずは、最近主流のIF DSPによるフィルタが無いこと、ただし設計S-950をベースにされている。ダブルスーパーヘテロダインの受信機で、ダイナミックレンジは105dBを誇り、かつ、二次中間周波数10.695MHzにシャープなルーフィングフィルタを装着している。私の場合、CWで500Hz,270Hzの２つを設けている。すなわち、後段のAF DSPなど殆ど活用していない感じだ。
最近の無線機をみると、ダブルスーパーヘテロダインの構成で、二次中間周波数を24kHzに設定していることが多い。これは、おそらくDSPでの処理が可能な周波数でここまで下げているのだと思われる。更に、私の場合、TCXOも入れているため、TS-590SGと同じ周波数精度を備えていることになる。
すなわち、フィルターをきちんと装着し、武装すれば、まだまだワンクラス上の無線機と互角以上に機能発揮しそうな無線機といえよう。
ただ、昔の設計されたリグなので、以下のことを考えて購入する際は検討してほしい。

・CWフィルタは必須。
・フルブレークイン機能はうるさいのでお勧めしない。
・もちろんだがバンドスコープが無いので、不便かな？
・アンテナチューナが無いので、調整されたアンテナか外付けチューナーが欲しい。
・USB端子が無いので、PCとの接続には別途中継が必要。

お勧めの方は、FT8等のデジタル運用者（便利だし、100W連続送信可能）、CWでのDXハンター(200WならEUとでも結構余裕だし、RBN使えばスコープ不要ですね）。

それと、意外にいいのはAMの送信音。これも昔の設計だからかもしれません。ハイ。
パワーを狙うか？最新のリグか？同じ価格ならば難しそうですね。
※ちなみに、現在、総通にTS-480HXの撤去申請中で、許可が下りたら、ヤフオク出展予定です。電源、PC接続器も一緒に・・・。