とっても勝手なHF機比較・・・
現在、各メーカーから色々な無線機が販売されている。メーカーに叱られると思うが、特に知識が無い私が、各社のカタログを見て、比較した結果を書いたまでとして欲しい。おそらく、カタログ以外に多くのノウハウが設計に織り込まれているはずだからである。
これを書くきっかけとなったのは、IC-7610とTS-480HXの比較の際、TS-480HXの設計コンセプトを調査したからである。
少なくとも、TS-480の徹底解説集を見れば、悪い性能ではないと感じた。TS-950の設計思想を引き継ぎ、出来る部分はコストダウンをして努力されている。第三次ダイナミックレンジ特性は105dB、これはTS-590SGのカタログスペックとほぼ同等の能力ではないか?と思う。そして、フロントエンドの前段にバンドパスフィルタが置かれているがなんと10分割のBPFで構成されている。この無線機はダブルスーパーヘテロダインを採用しており、第1IFが73.095MHz、第2IFが10.695MHzのものである。この部分には、TS-480用に開発されたフィルタが備えられており、非常に鋭いシェープファクタを備えているようである。これで、200W機であるのだ。確かに、IC-7000から変えたときに、3.5MHzでのイメージ信号が無くなったことを今も覚えている。
各メーカーの機能・性能をざっと比較してみた。間違いがあるかもしれないのでお許しいただきたい。
1.Yaesu
Type Superheterodyne FrontFilter 1st IF 2nd IF 3rd IF (内 Filter)
FT-891 Triple BPF 69.45M(3k) 450k 24k(DSP)
FT-450D Double 8xBPF 67.899M(10k) 24k(DSP)
FTDX1200 Triple 8xBPF 40.455M(3/6/15k) 455k 30k(DSP)
FTDX3000 Double 15xBPF 9M(0.6/3k) 30k(DSP) μTune Option
FTDX5000 Double VRF+15xBPF 9M(0.6/3k) 30k(DSP) μTune Option
※SubはFTDX1200と同じ
FTDX9000 Triple VRF+μTune 40.450M(3/6/15k) 455k 30k(DSP)
※SubはFTDX1200と同じ
FTDX101 Double VC-Tune+15xBPF 9M(0.3/0.6/3k) 24k(SDR)
2.Kenwood
TS-590SG Double BPF 11.374M(0.5/2.7k) 24k(DSP)
TS-890 Double BPF 8.248M(0.5/2.7/6/15k) 12k(DSP)
TS-990 BPF+PreSelecter 8.248M(0.27/0.5/2.7/6/15k) 12k(DSP)
※SubはTS-590SGと同じ
3.ICOM
IC-7100 Triple 124.487M 455k 36k(DSP)
IC-7300 Direct 15xBPF 12k(SDR)
IC-7610 Direct DigSel+13xBPF 12k(SDR)
※Subも同じ
IC-7861 Double DigSel+BPF 64.555M(1.2/3/6/15k) 36k(DSP)
面白いと感じたのは、最近のモデルは、フロントにBPFを付けて、ミキサで中間周波数に変換、更に低い中間周波数に変換して、そこでDSPによりフィルタなどの信号処理を行っている。また、高級機は、ダブルスーパーヘテロダイン方式で、前段のBPFと第1IFにおけるルーフィングフィルタをきちんと入れている。特に、フラグシップ機は、すべてBPFの他にプリセレクタ機能が入っている。
IC-7300とIC-7610では、BPFが異なっており、IC-7300の方が多い。これはIC-7610にはDigSelがあることを見越したことなのだろうか、メーカーの意図は不明。
いずれも、デジタルと組み合わせて特徴を出そうとしていることは明白である。
この中間周波数でのDSP処理が行われず、検波回路後の低周波領域でDSPにより処理をしているのが、TS-480HXである。
TS-480HXのAF増幅器のDSPでも十分にCW領域での混信を取り除くことができるが、近くに強力な信号があると、AGCによるブロックがされてしまうため、CWフィルタは必要る。しかし、外付けのAPFがあれば、IC-7610に近い性能は出せるのかもしれない。
いずれにしても、最初の入り口でいかに不要な信号を取り除いて、初段のアンプに限られた信号を入れるかがカギなのかもしれない。
あくまでも勝手なひとりごと・・・である。